雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第389話

公開日時: 2023年12月10日(日) 14:29
文字数:532


 残念そうな顔を浮かべる亮平を尻目に、坂道を下った。


 接骨院の隣にある貼り紙だらけの塾。


 神港学園高校の4階建ての校舎。


 さぞかし大富豪が住んでるんだろうと思われるような日本庭園が、坂道を降っているときに見えた。


 庭園の竹垣フェンスの下にぽっかりと空いた広い車庫が、おしゃれなガーデンライトの奥に建てられていた。


 ここらへんは瓦式の家がわりとある。


 山の斜面は神戸市内とは思えないほど緑に溢れてて、山肌に建つ背の高い鉄塔が、じっと蹲っているようにも見えた。


 摩耶山の頂上にあるロープウェイの駅と、山道に点々と灯る小さな外灯。



 草の生えた空き地。


 落ち葉のぎっしりと埋まった砂利道。


 赤いスーパーカブが置いてある防火水槽近くの家には、カラカラと音のする室外機が鳴っていた。


 いい加減修理すればいいのにと思うが、家の人は気づいてるんだろうか?


 カーブミラーの奥に立つ『摩耶ケーブル』と書かれた看板。


 手書きのようなフォントで書かれた赤い文字の横には、矢印が。


 坂道の上を指さすようにそれは向いていた。


 地元すぎて行ったことがないんだけど、どんな景色なんだろうね?


 友達が言うには紅葉の時期に行くのがおすすめらしいが、そういうのにあんま興味ないんだよね。


 高いところの景色なんて、ビルの上からでも見えるし。

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