「楓ちゃんが手伝ってくれて助かるわ。うちのバカ息子とはえらい違いや」
…楓ちゃん?
誰?と思ったが、恐らく女の名前だろう。
すっかり仲良くなりやがって。
相手するのも疲れてきたので、朝メシを食おうとリビングに向かった。
先客に夏樹がいた。
トーストにバターを塗って、その上に砂糖を振りまいている。
よくそんな甘いもん食えるな…
食卓のテーブルには目玉焼きとおにぎりが添えられていた。
ついでにウインナーまである。
いい焦げ目だ。
「それ、お姉ちゃんが作ってくれたんやで?」
…アイツが?
おかんにしては珍しいと思ったが、そういうことか。
けど、どういう風の吹き回しだ?
ってか勝手に作らせんなよ
…ほんとに、状況わかってなさすぎ
「うち、あんなお姉ちゃんが欲しかったなぁ」
「あのな、俺の話を信じろよ」
「なんか言っとったっけ?」
「…もうええ」
逆に尊敬するわ。
お前らの危機察知能力のなさ。
野生の動物だったらまず間違いなく先に死んでるぞ?
よかったな。俺がこの家にいて。
サランラップを開けて毒が入ってないかを確かめる。
…うーん。
見た感じ問題はなさそうだな。
にしてもすごい上手だなこの目玉焼き。
黄身が艶っつやだ。
白身は先端まで程よい焼き加減で、塩胡椒の塩梅も完璧に近い。
おかんとはえらい違いだ。
おにぎりの形も、めちゃくちゃ整われてるし
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