「…追いつかんとあかんのや」
「…は?」
「もう間に合わんことがあるかもしれん。…でも、諦めたくないんや。勝負は最後の最後までわからんやろ?」
言ってる意味がわからない。
それはずっとだが、ここにきてそれはエスカレートしてる。
ふざけてる様子はない。
きっと、そんなつもりはないんだろう。
でも、だから余計に、こっちは困ってる。
俺の力が必要だとか、千冬に会いに行こう…だとか。
…挙げ句の果てには、「運命を変える」なんてふざけたことを言う。
そんなこと急に言われても、真顔ではいそうですかとは答えられない。
伝わるでしょ?的な感じで、言うセリフじゃない。
内容的にも、流れ的にも。
「とりあえず、甲子園に行く」
「…はぁ??」
「未来で、あんたは甲子園に行ったんやで?」
…甲子園に…行った?
誰が?
真顔で聞き返した。
…聞き間違いじゃないかと思い。
女は言うんだ。
それが、さも当たり前のように。
未来で、俺が、“甲子園に行った”って。
「ちょお待て」
「ん?」
「ん?やないわ。どういう意味やそれ」
「未来」っていうだけでも信じられないのに、よりにもよって俺が甲子園に行っただぁ?
あり得ないだろそんなの。
この部を見てみろよ。
奇跡が起きたって、せいぜい3回戦止まりだ。
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