雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第228話

公開日時: 2023年6月13日(火) 23:49
文字数:514


 グラウンドには明かりがつき始め、日は暗くなっていく。


 秋に近づくにつれて、日が落ちるのがあっという間だ。


 校門前で自転車に乗りながら、駄弁ってる女子が何人かいた。


 もう18時か…


 「バイバイ」って声が、下駄箱の方から聞こえてくる。


 「また明日ね!」


 とか、


 「さいなら〜」


 とか。


 早く帰る人は早い。


 部活によっちゃ、早く切り上げる部も結構ある。


 3年生はもう引退してる人もいるし、帰宅部もちらほら。


 


 野球部の部室をこっそり見てみたけど、何もなかった。


 入学してきた頃と何も変わらない。


 あの頃、まだ俺たちの部室はなくて、ソフトボール部の倉庫になってたんだ。


 部活を立ち上げた後に無理言って、倉庫を空けてもらった。


 今じゃいい思い出だ。


 わざわざ校長室に土下座までしにいったってのに、すんなりオッケーをもらったことも。


 ロッカーや椅子を、他の部からお裾分けしてもらったことも。



 「ここが部室やったん?」


 「ああ…」



 ロッカーがないどころか、面影すらないんだが…


 もう一度中を見た。


 うーん…


 場所は合ってるよな!?


 周りを見渡す。


 場所は間違いない。


 壁際のこの場所。


 狭い間取り。



 「倉庫やね」


 「…うん。そうやな」


 「ほんならやっぱ、野球部は存在しとらんってこと?」


 「そうみたいやな…」

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