キーンコーンカーンコーン
次の日の放課後だ。
女は俺の目の前を歩き、海まで行こうと言ってきた。
コイツはきっと、「海」が好きなんだろうと思った。
この前のこともそうだし、コイツのラインのプロフ画面は海だ。
瀬戸内海のブルー。
ラインなんて交換するつもりはなかったが、なぜか強制的にフレンドにさせられてしまった。
やり取りをする予定はない。
一方的にメッセージが送られてくるけれども。
「あんたに見せたいものがある」
女はそう言うんだ。
相変わらず、颯爽と歩きながら。
この日、予報では雨だった。
朝起きてから雲行きが怪しくて、ゴロゴロと空が鳴っているのを、午後になってから耳にした。
まだ、雨粒は落ちてきていない。
けれど時間の問題だろう。
もうすぐ雨が降る。
それなのに、薄暗い空の下で、女は歩みを止めなかった。
傘も持たず、後ろを振り向きもせず。
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