女は大ちゃんとペアを組んで、キャッチボールを始めていた。
相変わらずいい球を投げる。
フォームは完璧で、伸びのあるストレート。
全員びっくりしていた。
グラブ捌きも、体の使い方も、女の一挙手一投足を見るたびに。
下手したら俺よりも上手い。
「野球歴6年」の俺よりも。
でも、ぶっちゃけそんなことはどうでもいい。
全然練習に集中できなかった。
頭の中が混乱してた。
なにがどうして、…こうなった?
…やべ。
ほんとに集中できない。
キャッチボールが終わっても、視線は自然と女の方に向いた。
どういうつもりなのか聞きたかったが、他の奴らと楽しくやってるから、中々話しかけられなかった。
そうこうしているうちに7時が来た。
最後にロンTをして、今日のところは切り上げた。
制服に着替え、学校を後にする。
俺たちは校門前で別れた。
大ちゃんとは帰り道が一緒だが、今日は寄るところがあるらしい。
多分、弟を迎えに行くんだろう。
大ちゃんは今、仮設住宅で暮らしてる。
親はいない。
色々事情があって。
時々俺も遊びに行くが、まあ、それはそれとして。
「ほなまたなー!」
「おっす!明日からよろしく楓ちゃん」
「こちらこそ」
「亮平事故んなよ?」
「…」
「あーあ、不貞腐れてやがんでコイツ」
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