雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第351話

公開日時: 2023年10月11日(水) 00:07
文字数:852


 「そういえばあんた、コウに変なこと言った?」


 「言っとらん」


 「昨日あんたとキャッチボールせぇって言われたんやけど」


 「え?」


 「なんか聞いとらん?」


 「…いや」



 アイツ…


 余計なこと言うなよ。


 いつ言ったんだそんなこと。


 大体そんなこと頼んだ覚えはないぞ。


 キャッチボール?


 練習でってこと?



 「部活の時や」


 「昨日はコウとキャッチボールしたけど」


 「断ったからな」


 「あ、そう」



 アイツに余計なこと言わなきゃよかった。


 …つーか、アイツが言い出してきたんだよ。


 「最近おかしいぞ」って。



 「絶対なんか言ったやろ?」


 「言っとらんって」


 「ならええけど」



 ギクッてなったんだ。


 アイツ、俺の話は信じてくれないくせに、妙に勘が鋭くて。


 そりゃしばらく挙動不審だったから仕方ないのかもしれないが、まさか千冬のことを言われるとは思わなかった。


 ホームルームが終わって掃除してた時だ。


 なんかあった?って、聞いてきたのは。




 その時は別に大した話にはならなかったが、ちょいちょい突っ込まれるんだよな…、あれ以来。


 一体どこで勘付いたのか知らないが、俺からしたらいい迷惑だ。


 千冬のことはいいから、少しは俺の話を信じろっつーの。


 難しい話なのはわかるけど。




 「さぶっ」




 朝露が街の上に降りてきてる。


 1週間前はそんなことなかった。


 まだ、半袖で十分くらいだった。


 暖房とは無縁だって思ってたのに、空気が冷たい。


 明日から手袋しようかな。


 ゴツいのじゃなくて、薄手のやつ。




 「もう暖房つけとん!?」


 「寒いし」


 「早くない?」



 風邪引くかと思ったんだって。


 今日の朝はとくに。


 夜はそんなことなかったんだけどなー


 さすがに掛け布団1枚じゃ耐えられん。


 毛布を出してもいいけど、いちいちクリーニングに出すのがめんどくさいんだよな。


 衣替えの時期に。




 「今使わんといつ使うねん」


 「暖房つけりゃいい話や」


 「電気代節約せぇよ」


 「大して変わらんやろ」


 「変わりますー」


 「去年そんなことなかったけどな」


 「普段から節約できてないからやろ」


 「してますが?」


 「どこらへんを?」


 「こまめに電気消しとる」


 「ほんまに?」


 「ほんまほんま」




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