◇◇◇
「聞いたで?今めっちゃ盛り上がっとるらしいね」
松村さんが朝から俺に聞いてきた。
今、野球部は学校の話題になっている。
あの女のせいで、色々とかき乱されてるからだ。
もう2週間が経つ。
松村さんはどんな感じ?と目を輝かせてるが、そんな良いもんじゃない。
「最悪や」
「え、なんで!?」
そりゃもう色々ありまして。
愚痴を聞いてくれた。
ここ最近のこと。
あの「力」のことについては言えなかったから、省略する部分は省略して。
「…へぇぇぇ、甲子園出場ねぇ…」
「な??おかしいやろ!?」
「そう?素敵やん」
「へ!?どこらへんが??」
「だって、せっかく野球部作ったんやろ?目指すべきは頂点やろ!」
「…うーん」
言いたいことはわかるけど、頂点を目指せるような状況じゃないんだ。
そりゃ松村さんは弓道で全国を狙えるくらいすごいけど、俺らはそんなんじゃない。
野球経験者が2人しかいないんだ。
高校から弓道始めた人が、突然全国には行けないでしょ?
だから、簡単に言えばそういうことで
「まあ、かなり厳しい戦いにはなると思うけど…」
「やろ?おかしいねん。“戦い”っつーか、そもそもそんな土俵にも立てとらんし」
「でも皆はやる気になっとるんやろ?」
「…そうなんや。全然話聞いてくれんくて」
女に良いように踊らされて、今じゃすっかりやる気になってる。
土台無理な話だってのに、そこんとこ理解しようとしなくてさ
「良いことやん」
「どこらへんが?!」
「だって皆頑張っとるわけやろ?行けるか行けんかはともかく」
「…そうやけど、頑張ったところでって話や」
「私は良いと思うけどなぁ」
「えぇ…。松村さんまで…??」
「逆に亮平君は何が不満なの?」
…何がって、そりゃ、色々…
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