いつからだったかな。
自分のイメージとは違うボールが、頭の片隅によぎるようになったのは。
「ああ、もう!」
「納得いかんのんか?」
「先輩はどう思います?」
「俺はええ球やと思うけどなぁ」
「球速は?」
「129!」
自分でもわかってる。
思うようなストレートが、いかなくなった理由くらい。
でもそんなのはただの言い訳。
男だからとか女だからとか関係ない。
もうちょっとなんとかなるはずなんだ。
もう少し肩の開きを抑えられれば、下半身に粘りが出る。
重要なのは左足だ。
テイクバックの肘の位置と、地面を掴むタイミング。
肘や肩の開きを意識しがちだけど、本当に意識しなきゃいけないのは下半身だ。
腕は勝手についてくる。
昔から、そのイメージは変わってない。
ボールの縫い目が直に肌に伝わる。
そういう時が、いちばん調子がいい。
なんとなく感じるんだよね。
マウンドの土を踏んだ時に。
今日は「いける」って。
「カーブ投げとくか?」
「いや、やめときます」
思うように投げれないってわけじゃない。
昨日も今日も、それは変わらない。
ただなんとなく引っかかるんだ。
思いっきり投げようとすればするほど。
昔はそんなことなかった。
アイツのキャッチャーミットめがけて、どこまでも走っていける気がした。
あの頃は、まだ、余計なことは考えなくてさ。
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