雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第217話

公開日時: 2023年6月3日(土) 02:15
文字数:863


 「私ならするけどなー。好きな人ができたら」



 ふーん。


 それでなんて言うんだ?


 付き合ってくださいって?


 俺は別に、アイツの彼氏になりたいわけじゃない。


 「付き合う」って言ったって、よくわかんないんだよ。


 友達から恋人に??


 いやいや、よくわからん…


 友達と恋人の違いってなんなんだ?


 そりゃ、全然違うのはわかってる。


 けど、なんつーか、友達のままでよくね?って思う。


 わざわざ気持ちを伝えなくたって、今のままで十分だなって。



 俺たちのことはどうでもいいんだ。


 アイツが、笑ってくれてさえいれば。


 綺麗事だって思う?


 そりゃそうかも。


 アイツの隣にいたらドキドキするし、思うように喋れない。


 人前で緊張することなんて滅多にないのに、アイツの目を見ると、何故か。


 説得力に欠けるとは思ってる。


 好きでもなきゃ、普通緊張なんてしないだろ?


 でもその「好き」は、別に何か身の回りの“変化”を、求めてるわけじゃなくて。



 「まーちゃんは?」


 「へ??」


 「せやから、好きな人は?」



 思いのほか彼女はびっくりして、返答に困ったような反応をする。


 さては誰かいるな?


 その感じだと。



 「今なんて言った?」


 「え、せやから…」


 「誰かと思った…」


 「え?」


 「“まーちゃん”って」



 え、なんか変なこと言った?


 普段そう呼んでるんだろ?


 話すのもだいぶ慣れてきたし、いつもの呼び方をしてみようかなぁと思ったんだけど。


 …ぎこちなかった?



 「そういえばそうやったね」


 「そういえば??」


 「亮平君にそう呼ばれたの初めてかも」



 は??


 …いや、え?


 「まーちゃん」って呼んでるって、朝言ってなかったか?


 聞き間違い?



 「冗談のつもりやったんやけど(笑)」


 「はぁ??」


 「ほんまに記憶喪失になっとると思わんやん?」



 なんだそれ…


 コウはコウで、借りてた1000円返しに行ったら、借りとらんとか真顔で言うし…


 わざわざ千冬から貸してもらったのに。



 「変なこと吹き込むなや…」


 「そのままそう呼んでくれてもええよ?」


 「いやや」


 「なんで??」



 逆に呼びにくい。


 仲良くないのにまーちゃんとか。


 一之瀬さんでいいよ。


 そっちからしたら、よそよそしいかもしれないけど。

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