「私ならするけどなー。好きな人ができたら」
ふーん。
それでなんて言うんだ?
付き合ってくださいって?
俺は別に、アイツの彼氏になりたいわけじゃない。
「付き合う」って言ったって、よくわかんないんだよ。
友達から恋人に??
いやいや、よくわからん…
友達と恋人の違いってなんなんだ?
そりゃ、全然違うのはわかってる。
けど、なんつーか、友達のままでよくね?って思う。
わざわざ気持ちを伝えなくたって、今のままで十分だなって。
俺たちのことはどうでもいいんだ。
アイツが、笑ってくれてさえいれば。
綺麗事だって思う?
そりゃそうかも。
アイツの隣にいたらドキドキするし、思うように喋れない。
人前で緊張することなんて滅多にないのに、アイツの目を見ると、何故か。
説得力に欠けるとは思ってる。
好きでもなきゃ、普通緊張なんてしないだろ?
でもその「好き」は、別に何か身の回りの“変化”を、求めてるわけじゃなくて。
「まーちゃんは?」
「へ??」
「せやから、好きな人は?」
思いのほか彼女はびっくりして、返答に困ったような反応をする。
さては誰かいるな?
その感じだと。
「今なんて言った?」
「え、せやから…」
「誰かと思った…」
「え?」
「“まーちゃん”って」
え、なんか変なこと言った?
普段そう呼んでるんだろ?
話すのもだいぶ慣れてきたし、いつもの呼び方をしてみようかなぁと思ったんだけど。
…ぎこちなかった?
「そういえばそうやったね」
「そういえば??」
「亮平君にそう呼ばれたの初めてかも」
は??
…いや、え?
「まーちゃん」って呼んでるって、朝言ってなかったか?
聞き間違い?
「冗談のつもりやったんやけど(笑)」
「はぁ??」
「ほんまに記憶喪失になっとると思わんやん?」
なんだそれ…
コウはコウで、借りてた1000円返しに行ったら、借りとらんとか真顔で言うし…
わざわざ千冬から貸してもらったのに。
「変なこと吹き込むなや…」
「そのままそう呼んでくれてもええよ?」
「いやや」
「なんで??」
逆に呼びにくい。
仲良くないのにまーちゃんとか。
一之瀬さんでいいよ。
そっちからしたら、よそよそしいかもしれないけど。
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