体育の授業が終わって、放課後を迎えた。
ホームルームの後、ガヤガヤと騒がしい教室の中で、部活に行こうとしてる千冬に話しかけた。
朝にも話したように、俺は今から須磨高に行く。
行っても見つからないかもしれないが、なにかわかるかも。
「部活は?」
「今日は休むって言うたやろ」
「ハイハイ。まぁ頑張り」
千冬がどう思ってんのか、全く掴めない。
今日も一日ろくに話すことがなかった。
フォローしてくれるのは一之瀬さんだけで、千冬とは時々目が合うくらいだった。
俺が思うように話しかけられなかったっていうのもあるが、それにしてもだな…
朝の話じゃ、協力してやるってちゃんと言ったよな?
なんで「記憶喪失」なんて言ったんだよ。
すげー困ったんだが?
今すぐに問い詰めたい気分だった。
マフィン代を返せほんとに。
ただでさえ手持ちが少ないんだぞ?
下駄箱に行って靴を履き替えた。
靴の場所がどこだったかいまいち思い出せなかったが、何とか思い出せた。
一日だけじゃ全然把握できない。
トイレとか階段の場所とかならもう頭に入ってる。
けど、他の場所はからきしだ。
どこに何があるのかがさっぱりわからん。
いやまあ、一日いたからなんとなく把握してはいる。
教室が何階にあるかとか、体育館の行き方とか。
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