「世界は崩壊したんや。遠い未来で」
「………崩壊?」
「うん。さっき言ったやろ。『ジャンアント・インパクト』。私たちの未来が失われた日や」
「…未来が、失われた…?」
「空から隕石が落ちてきたんや。青かったはずの雲の向こうで、巨大な重力が降ってきた。世界の形を変えるほどの」
「待て待て!何言うとんねん!?」
「どうせ信じんやろ。せやから見せたんや。ちょっとだけ、”世界の秘密“をな」
「どういうことや…?」
「わかるやろ。あんたの今目にしとるもんが、「異常」やってことくらい」
「…そりゃ、まあ…」
「「私」は、あんたとは違う世界で生まれたんや。元々な」
「…待て」
「世界が止まっとるように見えるのは、私がある「力」を持っとるからや。他の人間には無い、特異な“能力”を」
「…待てって言っとるやろ!」
思わず静止した。
女の言ってることがわからない。
今目にしてるものがわからない。
だけどそれ以上に、こんな状況で会話ができるほど冷静にはなれない自分が、不自然には思えなかった。
口も開きたくはなかった。
——動けなかったんだ。
手も足も、瞼でさえ。
目の当たりにしてるものが衝撃的すぎて、整理できるものが何もなかった。
拾いたい言葉も、扱いたい言葉さえもなかった。
そうしてすぐ目の前で、意味のわからないことが聞こえてくる。
…世界が崩壊…?
隕石…?
どんな感情だって、きっと追いつけない。
そんな予感が頭の中に犇めいていたのは、当然と言えば当然だった。
これが「現実」なわけが、なかったからだ。
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