「カーブだけじゃ物足りんのん?」
「物足りないとかやなくて、武器が少ないねん」
「カーブの精度上げたらええやん」
「2種類だけやと幅が狭いやろ」
「そうか?」
球の質を上げることも大事だよ?
ストレートだってもっと速くしたいし、回転量だって上げたい。
カーブもそうだ。
私のカーブはどっちかっていうと縦系だから、もう少し落差をつけたり、速球との球速差をハッキリさせたい。
ただ、なかなか難しいんだよ。
精度を上げるって言ったって、ストレートに威力がなきゃカーブが生きない。
だから緩急にも奥行きを持たせたかった。
高低差だけじゃなく前後にもボールを動かして、できるだけ深い軌道を持たせたいんだ。
バッターとの距離感の中に。
5本目のポール間走。
野球部のために増設したフェンスの前で、屈伸したり膝をついてる先輩たちが、先週公開された映画『バーサーカー2』についてを熱く語ってた。
宇宙から来た謎の生命体と、地球の特殊部隊との戦いが繰り広げられるSF映画なんだけど、B級臭のする内容とは裏腹に、骨組みのあるストーリーとド派手なアクションが、一躍有名になった作品だ。
私は興味ない。
アクション映画自体は好きだけどね?
エイリアンと人類の戦いってだけでお腹いっぱい。
宇宙人なんて信じないって言ってた五十嵐先輩が、映画について熱く語ってるのは面白いけど。
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