まじで言ってんのか…?
でも仮にそれが事実なら、あの日のことも…
「すでに起こったことは変えられんって言うたやろ?」
「…なんやねんややこしいなぁ。変えられるんやろ?」
「あくまでイメージな?」
「イメージぃ!?」
まじでよくわからん。
コイツと話してるといっつもこうだ。
いつも、頭がパンクしそうになる。
変えられるとか変えられないとか、ハッキリしろよ。
結局どっちなんだよ。
何が正解で、何が間違いなんだ??
「どっちも間違いで、どっちも正解や」
「おいおいおいおい」
「何?」
「「何?」やないわ。おちょくっとんのか」
「聞く能力なさすぎな」
「聞いとるよ?俺はちゃんと」
「聞いとるのにその顔ですか」
今どんな顔してる?
って、そんなことはどうでもいいんだ。
俺が言いたいのはだな…
「話が二転三転しすぎや言うとるんや」
「しとらんがな」
「主にどこら辺が??」
「全部」
「ハァ!?お前の頭バグってんのか!」
ハリセンが飛ぶ。
頭を引っ叩かれる。
…なんでお前が殴るんだよ
言っとくけど、おかしいのはお前の方だからな??
マトモなのは俺で、マトモじゃないのはお前。
おわかり?
「例えば過去が“1つ”しかないとしたら、未来は?」
「そんなもん1つしかないに決まっとるやろ」
「ほんなら、他の世界のことは?」
他の世界のこと…?
さっきまでいた世界は、こことは違う世界だった。
それはわかる。
千冬は事故に遭ってなくて、俺は違う高校に通ってて…
「ということはつまり、過去も未来も、複数存在するっていうことやろ?」
「そうやけど…」
「せやったら問題は簡単や。未来は1つだけやない」
「でもお前今“過去が1つしかないとしたら?“って言うたよな?」
「そうやで?」
「ほんなら実質未来は1つになるやろ」
「なんでそう思ったん?」
「なんで…って、今話しとることも、これから食う晩飯も、ようするに「未来」ってことやろ?ってことは、その未来は1つしかない。晩飯が2回訪れるわけもないし…」
「あんたにしてはいい考察やな」
コイツ…
だってそういうことだろ?
別の世界の未来は未来で、こっちの世界の未来とは違う。
だけどこの世界の未来は、この世界ではたった1つだけだ。
昨日何食ったか、何時に起きたか、その「過去」は、たった1つしかない。
それに「過去」は、このタイミングでも生まれてる。
今話してること、言った言葉、そんなものが全部漏れなく、「過去」になっていく。
1秒先のことだってそうだ。
時計の針が進んで、通り過ぎていった場所は全部「過去」だ。
それが1分だろうが、1時間だろうが変わらない。
つーことはだ。
「過去も未来も、この世界では1つしかない。どや?そういうことやろ」
女はニヤッとした表情で、「なかなかいい線やな」と言ってくる。
いい線もクソもあるか。
単純な話だろ。
それをお前が、変えられるとか変えられないとか言うから…
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