「ねえ、亮平君。ホントに知り合いなの?」
神妙な顔つきで聞いてきたのは、隣の席の松原さんだ。
優等生で、我が校の伝統ある弓道部キャプテン。
入学して以来、ひょんなことから仲良くなった。
今じゃ、すっかり友達だ。
「ああ、そうやで」
「やっぱそうか!!」
「お前には言っとらん」
ったく、騒がしいんだよ。
松原さんは、どういう知り合い?と、興味深々に尋ねてきた。
“どういう知り合い”と言われてもなぁ…
出会ってまだ間もないし、知り合いと呼べるほどの正式な出会い方もしていない。
第一印象を教えてやろうか?
犯罪s…
「おい、亮平!!」
ガラッと、教室の扉が開き、一層とざわつく教室。
声がした方を向くと、アイツがいた。
ちゃっかりウチの制服に着替え、勢いよく登場してきた女の姿が。
ズカズカズカッ
「…な、なんや?」
「私のスマホ知らん!?」
「…知らんわ」
「おっかしーなぁ。家に忘れたかな」
健太は急接近してきた彼女に後ずさりながら、ヒョコっと俺の後ろに回り込んだ。
松原さんは松原さんで、呆気に取られたように見上げている。
ポケットを漁りながら「無い無い」と頭をかき、しまいには俺の鞄を漁り始めた。
「ちょッ…!なにしとんや!」
「盗んどらん?」
「盗むわけないやろ!」
…何を人聞きの悪いことを。
ってか勝手に触んなよ!
入ってねーから!
ゴソゴソとひと通り探ったあと、納得したのか、じゃーな!と振り向きざまに指を立て、何事もなかったように去っていった。
そういや朝、キッチンでいじってたのを見かけた気はするが…
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