雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第215話

公開日時: 2023年5月31日(水) 19:18
文字数:643



 「違う世界から来たって、どんな感覚?」



 冗談っぽく、彼女は言う。


 どんな、って言われても…



 なんて言えばいいんだろう。


 正解なんて無いよな?


 そもそもがぶっ飛んでるんだ。


 1日中考えたけど、身の回りの出来事について、まだよくわかってない。


 結局のところ、ここが現実かどうかも定かじゃないんだ。


 感覚的には、…まあ、冴えてるっちゃ冴えてるが。



 「ぶっちゃけどう思っとん?」


 「どう?」


 「…いや、ほら、どう考えてもおかしいやろ?」


 「それ自分で言う?」



 …うっ


 それはそうだけど…


 一之瀬さんも、“アイツ”について興味津々だった。


 別に何もないって言ってんのに、「探してる」って言った途端。


 俺は本当のことを言ってるだけで、別に何もない。


 まじで迷惑してんだって。


 色々。


 今回の件はもちろん、それ以外のことも。



 「変な話やなぁとは思っとるよ?」


 「…やっぱり?」


 「でも、なんか面白そうやん?須磨高に行くのも初めてやし」


 「遊びに行くんちゃうで?」


 「まあまあ、そう言わんと」



 真面目に聞いてくれてるんだろうか?


 少し不安になってきた。


 後ろの席ではしゃぎながら、バカンスにでも行くかのように声が弾んでる。


 そんなんじゃねーって。


 少なくとも、楽しめるような状況じゃない。


 緊急事態中の緊急事態。


 だったら朝から行っとけよって?


 いや、それはほら、色々あったから…


 千冬が家に来るとは思わなかったし…


 一緒に登下校だぞ!?


 そんなこと、昨日まで想像もできなかった。


 つい嬉しくなる自分がいた。


 まじかよ!?って、心の中で叫んでた。


 



 …とまあ、その話は置いておいて。

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