「頭イカれたんか!?」
「そんなわけないやろ」
「ほんならこれはどういうことやねん」
「スマホ返せや」
「返したらまた電話するんやろ」
「そりゃそうや!」
「なんでさや姉にかけた?」
「…いや、やからなんで知っとんや?」
「どういうこと??」
噛み合わなすぎる。
一周回って俺がおかしいのかとさえ思えてきた。
頼むから、そんな顔しないでくれるか?
俺は至ってまともなことを言ってるだけだ。
どう考えたってそうだろ?
消えたんだぞ!?
世界から、アイツが——
騒がしくしてると、病院の人に怒られてしまった。
外に連れ出された俺は、彼女に言われるがまま、広い駐車場のフェンス際に立たされた。
「ちゃんと説明してくれるか?」
「…なにを?」
“ちゃんと”?
なにが「ちゃんと」なんだ?
説明することなんてない。
単純な話じゃないか。
人が1人いなくなってるんだ。
跡形もなく。
それなのに、誰も何も知らないなんておかしい。
それをどう説明しろって言うんだよ
逆になんとも思わないのか??
部屋に行ったら別人がいて、千冬は名簿にも載ってなくて、入院した履歴も残ってない。
そんなあり得ないことが目の前で起こってんのに、こんなところで話してる場合か??
さや姉なら何か知ってるかもしれないんだ。
だから早くそれを——
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