雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第327話

公開日時: 2023年9月18日(月) 21:38
文字数:930



 「なんやこれ…」


 「トンネルへと通じる扉や。この先に、クロノポリスがある」



 言われてみると、確かにトンネルの入口のようにも見える。


 女は扉の横にあるモニターを操作し、ロックを解除した。


 ゴゴゴゴ…


 という音と、少しずつ動いていく壁。


 扉は左右両開きとなっており、スライド式に開いていった。


 開いた扉の断面はやはり分厚かった。


 どんな衝撃にも耐えられそうな厚さで、人の力じゃびくともしそうにない。


 扉の向こうには、出口の見えない通路が続いていた。


 扉を開くと同時に明かりがつき、様々な大きさの配管が、壁や天井沿いに続いている。


 虫食い穴のように、空間がくり抜かれていた。


 “トンネル”だ。


 人が通るにしては、大きな。



 どこまで続くんだ…?



 そう思いながら、歩き続けた。


 十数分くらい歩いていると、同じように扉が見えたんだ。


 そして、その先には——



 「ようこそ、クロノポリスへ」



 自分が「地下」にいるということを、思わず忘れてしまいそうになる。


 それほどまでに広い空間と、地面の“深さ”。


 トンネルを渡った先にある場所は、地下と呼ぶにはあまりにも巨大だった。


 まるで、スタジアムを地面の中に埋め込んだみたいな奥行きが、何百メートルも続いていた。


 横にも、縦にも。



 「広ッ…」


 「あそこに通路が見えるやろ?ついてきて」



 通路?


 通路って言っても、色んなところにある気が…


 天井はさっきよりもずっと高かった。


 高いというよりも、ビルを見上げた時のような高さだった。


 構造が丸み帯びてて、ドームを丸ごと収めた時のような作りになってた。


 地上20階くらいまでの高さが、奥まで広がっている。


 各階層があるみたいで、中央エレベーター室や竪穴区画に設置された階段から、各フロアに行けるみたいだった。


 窓のように壁には穴が開けられ、その向こうには明かりがついている。


 聞くと、この空間自体が「中」ではなく、アリの巣のようにそれぞれの部屋やフロアが、通路を通して繋がっているとのことだった。


 ここはいわばエントランスのような場所だが、かといって地下施設の“中心”ではない。


 女はそう言いながら、何百個もある窓を指差し、たくさんの部屋と場所があることを教えてくれた。


 人が住める居住区や商業区、エネルギーや資材を生産する工業区が、今もなお建設中であることを。


 

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