「なんやこれ…」
「トンネルへと通じる扉や。この先に、クロノポリスがある」
言われてみると、確かにトンネルの入口のようにも見える。
女は扉の横にあるモニターを操作し、ロックを解除した。
ゴゴゴゴ…
という音と、少しずつ動いていく壁。
扉は左右両開きとなっており、スライド式に開いていった。
開いた扉の断面はやはり分厚かった。
どんな衝撃にも耐えられそうな厚さで、人の力じゃびくともしそうにない。
扉の向こうには、出口の見えない通路が続いていた。
扉を開くと同時に明かりがつき、様々な大きさの配管が、壁や天井沿いに続いている。
虫食い穴のように、空間がくり抜かれていた。
“トンネル”だ。
人が通るにしては、大きな。
どこまで続くんだ…?
そう思いながら、歩き続けた。
十数分くらい歩いていると、同じように扉が見えたんだ。
そして、その先には——
「ようこそ、クロノポリスへ」
自分が「地下」にいるということを、思わず忘れてしまいそうになる。
それほどまでに広い空間と、地面の“深さ”。
トンネルを渡った先にある場所は、地下と呼ぶにはあまりにも巨大だった。
まるで、スタジアムを地面の中に埋め込んだみたいな奥行きが、何百メートルも続いていた。
横にも、縦にも。
「広ッ…」
「あそこに通路が見えるやろ?ついてきて」
通路?
通路って言っても、色んなところにある気が…
天井はさっきよりもずっと高かった。
高いというよりも、ビルを見上げた時のような高さだった。
構造が丸み帯びてて、ドームを丸ごと収めた時のような作りになってた。
地上20階くらいまでの高さが、奥まで広がっている。
各階層があるみたいで、中央エレベーター室や竪穴区画に設置された階段から、各フロアに行けるみたいだった。
窓のように壁には穴が開けられ、その向こうには明かりがついている。
聞くと、この空間自体が「中」ではなく、アリの巣のようにそれぞれの部屋やフロアが、通路を通して繋がっているとのことだった。
ここはいわばエントランスのような場所だが、かといって地下施設の“中心”ではない。
女はそう言いながら、何百個もある窓を指差し、たくさんの部屋と場所があることを教えてくれた。
人が住める居住区や商業区、エネルギーや資材を生産する工業区が、今もなお建設中であることを。
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