「何度くらい?」
「40度近い」
「ほんまに!?休んだ方が良くない??」
女子の方はやっぱり「真波」って子だった。
一之瀬真波。
千冬が言ってた通り、話してると全然ギャルっぽくないっていうか、垢抜けた見た目に反して、真面目な感じがひしひしと伝わってきた。
「あとで保健室に行こうかなと」
「今行ってきたら…?」
「ま、まあ、とりあえず大丈夫」
「のど飴あるけどいる??」
「ありがと」
「冷えピタもあるけど」
優しさが目に染みる。
あんまり気を使わせるのも悪いと思い、そこまで悪くないとだけ伝えた。
大げさくらいがちょうどいいんだろうけど、わりと罪悪感が…
「無理せんときなよ」
「うん」
「遠慮せんと冷えピタもらっときぃや」
「いや、大丈夫」
「40度ってシャレにならんで…」
「めっちゃクラクラする」
「おいおい。ほんまに大丈夫なん?」
「…うーん」
「それで記憶が飛んだんか?」
「…そうそう」
男のことを、俺は普段なんて呼んでるのだろうか。
大槻コウだから、そのまま「コウ」かな?
それとも大槻?
仲が良いんだったら苗字で呼ぶことはないか。
「大槻」って、なんとなく言いにくいもんな。
「コウ?」
「あ?」
反応してくれたみたいだ。
ってことはやっぱり下の名前で合ってるっぽい。
呼び方がぎこちなかったのか若干反応が遅い気もしたが、とりあえず「コウ」と呼ぶことにしよう。
コウ↑
コウ↓
イントネーションはどっちでも良いか…
たった2文字だし。
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