「おらよ!」
バシッ
「ナイスボール!」
それにしても、大ちゃんおっそ…
何してんだ?
補習でもやらされてるのか?
「なんか呼ばれたって言っとったで?」
「ふーん」
祐輔が合流し、健太と岡っちとの3人でキャッチボールを始めた。
彼女か?
って聞いたら、どうやらクラスで駄弁ってたらしい。
ほんといい加減だなぁ…
でも、俺の次くらいに上手いんだよな野球。
ポジションはショートだ。
グラブ捌きがめちゃくちゃ柔らかいから。
「ってか、聞いたで?」
「あ゛?」
「なんやその目は…。怖!!」
ったく、コイツもかよ…
案の定あの女についてだった。
祐輔とは教室も離れてるってのに、どうやって知ったんだよ。
これ、下手したら全クラスに行き渡ってるんじゃないか?
もしそうだとしたら最悪だ…
あんま考えたくないんだが…
「俺はてっきり、松村っちとうまくいくかと思ったんやけどなぁ」
「は!?」
「仲ええやん?」
…いや、そういうのじゃねえ。
松村さんは恋愛になんて興味ないだろ。
普段はおとなしいけど、案外ハキハキしてるんだ。
笑う時は大声で笑うし、平気で冗談言ってくるし。
多分いちばん大人なんじゃないか?
でもだから、話しやすいんだ。
俺的には。
「なんやそれ」
「文句あるんか?」
「べっつに」
5人でキャッチボールをしていると、「おーい」という声が聞こえた。
大ちゃんだ。
おせぇぞ!
って言おうとして、勢いよく振り向いたんだ。
ようやく来たか、って、思いっきりリアクションしてやろうと。
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