リビングを占拠され、かれこれ1時間。
おかんは夕食の準備をし始めた。
一向に出ていこうとする気配がない女に怒りさえ湧き、無理矢理別室に連行した。
「どういうつもりやお前」
「なあに亮平君」
「「なあに?」ちゃうわ!!」
多重人格者かなにかか?
怖いんだけど。
「明日千冬に会いに行く。あんたも来るやろ?」
…は?
会いに行くって、いつ?
「朝でも昼でも。とりあえず明日は学校ないし」
「会ってどうすんや…」
「あんたしばらく会ってないやろ?」
「え…、そりゃ、まあ」
会ってない。
女の言ってることは正しい。
だけど、どうして…?
「あのさ、なんで色々知っとるんや…?」
ずっと疑問だった。
さっきから気になってしょうがないんだ。
なんで何もかも知ってる?
名前とか家族のこととか、そんなのはまだいい。
どうして千冬にしか話していないことをお前が?
だってあり得ないだろ…
そんなこと…
「せやから言うとるやろ。私は千冬の友達やって」
「説明になっとらんがな。仮にお前が友達やとして、どこでそのことを知った?」
「本人に聞いた」
「嘘つけ」
「ほんまや」
女の目は嘘をついているようには見えなかったが、どうしても納得できなかった。
千冬と2人で夢を追いかけていたあの頃、俺たちはよく海まで出かけた。
この街のすぐ近くにある、海岸に。
あの頃のことはよく覚えてる。
アイツの家にだってよく遊びに行ってた。
一緒に星を見ながら、未来についてを語り合っていたことも。
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