「何難しい顔しとんねん」
…え、…あ
開いた口が塞がらないまま、何を答えていいかもわからずに固まってしまった。
そんなこと言われても、…誰?
片耳にはイヤホン。
ポカリスエットを片手に持ちながら、大きなボストンバックを肩からかけている。
制服の上から羽織ったウィンドブレーカーは、袖が捲られていた。
腕元にはデジタル式の腕時計が。
淡いグリーンで、ワンポイントに際立っている。
何も言えずにいると、不意にデコピンしてきた。
「何ジロジロ見とんねん」と、叱りつけるように。
「イタッ…!」
痺れるおでこをさする。
…なんで、デコピンされたんだ今
突然の出来事にパニクった。
何より、身に覚えがなさすぎた。
そりゃ、じろじろ見て悪かったけど…
「…あの、誰?」
最初の質問に返答がないようだったから、再度尋ねた。
俺はキミのことを知らない。
同じように吊り革に手をかけ、隣に立っているようだけど。
あの女はどこに行った!?
キョロキョロ見渡してみたが、どこにもいなかった。
「「誰」ってどういう意味?」
…そのまんまの意味ですが??
え、他の意味ある?
そんな難しいこと言ってるつもりはないんだが。
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