教えられるもんなら教えたい。
その方がこっちとしては楽だ。
納得してもらえるかどうかは別として、いちいち誤魔化さなくて済む。
別に隠したいことでもないしな
…でも、なんというか、その
「ヒントくれヒント」
「…もうええ。一人で探す」
「はあ??もったいぶんなや!」
「どうせからかわれるだけやし」
「からかわん!」
「信じてくれとらんのやろ?」
「あんたの話?」
「うん」
「まあな」
そんな自信満々に言うなよ
悲しくなるから…
話してても埒があかないことが途中でわかってきて、手伝ってもらうことは諦めた。
手伝ってもらうというか、信じてもらいたかっただけだ。
実際は。
でも、多分、信じてもらえない。
そのことがなんとなくわかった。
さや姉は説得すればなんとかなりそうな雰囲気だったが、思わせぶりな気もする。
元々そういう人だし。
優しいけど、他の人よりもずっと現実的な人だ。
ずっと1人で、家事とか料理とかこなしてきてる人だった。
千冬の症状を誰よりも重く受け止めて、毎日のように病院に行って。
俺の話を信じてもらえるかどうかより、2人が楽しそうに暮らしてる様子を見ると、無性に嬉しくなる自分がいた。
当たり前のように喋って、当たり前のように笑って。
そんな日常を目の当たりにする機会なんて、今までなかった。
これまでも、——これからも。
なのになぜか、ここにいる。
事故に遭ったことなんて、微塵も感じさせない2人の姿が。
夜も更けてきたし、ひとまず家に帰ることにした。
結局誰やねんとしつこく聞かれたが、なんとか誤魔化した。
言えるはずがないんだよ。
そう心の中で思いながら、彼女の目を見る。
なんなんだろうな。
まじで。
「千冬」って呼べば、ちゃんと返事が返ってくる。
そんな嘘みたいなことが、平気で起こってる。
…夢じゃないよな?
ほんとに
信じられない気持ちが先行して、思うようについていけない。
よくわからないんだ。
ぶっちゃけ。
無理やり自分を納得させてはいるが、起こってることが衝撃的すぎて…
とにかく、一旦整理しないと
なにから手をつけていいかもわからんが、——とりあえず、だ。
アイツを見つけて、話を聞くしかない。
…ったく、どこほっつき歩いてんだよ
急にいなくなるなよな
こちとら、絶賛パニック状態だ。
心臓バクバクだし、変な汗が体から出てくるし
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