俺が好きな人は、もうずいぶん昔から変わってない。
好きっていうかなんていうか、“腐れ縁”みたいな感じ?
よく分からん。
…でも、もし目が覚めたらって思うことがあった。
子供の頃に抱いた気持ちが、いつか言葉にできたらって。
「好き」っていう気持ちがなんなのかを、あんまり深く考えたことはない。
考えたってしょうがないことだと思ってた。
ただ、目を覚まして欲しくて、それ以外のことは考えられなかったから。
ほんとは、「好き」とかそんなんじゃないのかもしれない。
もっとこう、伸び伸びとした気持ちっつーか、一緒にいて、落ち着くっていうか。
一緒に叶えたい夢があったんだ。
千冬には言えないけど、本当は、一緒にグラウンドに立てればいいと思ってた。
甲子園とかそんなんは、本当にただの「夢」だ。
そんな難しいことじゃなくて、俺からすれば、ただ、一緒に野球をやれるだけでよかったっていうか…
そんなこと言ったら、千冬はきっと怒るだろうなぁって思う。
誰よりも真剣に打ち込んでたし、1番にならなきゃ気が済まないタチだったし。
別に1番にならなくてもって思って、試合に負けた時に声をかけたりした。
そしたら怒るんだ。
いつも。
“負けられない”って、何度聞いたかわからない。
千冬は、言い訳なんてしなかった。
どんな時も結果を追い求めてた。
勝つか負けるか、その“真ん中”に立とうとしてた。
それが本番だろうが、練習試合だろうが。
なんでそんなに自分に厳しいのか、よくわからなかった。
もっと楽しくやればいいのにって、思いながら。
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