女の言ってることがわからなかった。
俺がアイツの夢を叶えても、なんの意味があるんだって。
約束なんて所詮、気休めでしかない。
アイツの目が覚めるなら、なんだってしようって思ってた。
…でも、意味ないじゃないか。
アイツはもう、笑ってくれないんだ。
話しかけても、返事がない。
俺にできることなんて何もない。
…もし、今できることがあるとすれば、それは…
バシィッ!
「イッタ…」
女はこの日いちばんのストレートを投げてきた。
体を目いっぱい使って、腕を振り切り。
「わからんのか?」
「は?」
「キーちゃんは今でも戦っとるんや。あんたがそこから逃げてどうする」
…戦ってる?
アイツが…?
「でも、もう…」
「「でも」やない!」
釈然としなかった。
何が「でもじゃない」んだよ…
俺だってわかってるさ。
目を背けちゃいけないことくらいは。
「せやったらわかるやろ?」
「何が?」
「逃げても何も始まらん」
「…いや、俺が言いたいのは」
「あーもう、ウジウジせんと」
まっすぐボールを放ってくる。
時々、波打ち際まで歩いて、バシャバシャと水浴びをしながら。
俺が何か言うと、すぐに反論してきた。
“御託を並べるな”って、突き放すように。
そんなつもりはない。
俺は正論を言ってるだけで、別に理由を並べてるわけじゃないんだ。
だけど同時に、女の言いたいこともわかる気もした。
“理屈じゃない”って。
本当は、もっと大事なことがあるんじゃないのか?って。
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