「今日は休む…」
「は?!なんでや!」
用事があるんだ。
昨日も言ったけど。
「ほんま大丈夫なん?」
「うん、まあ」
大丈夫かと言われれば大丈夫じゃない。
むしろこの状況で大丈夫なやつなんていないと思う。
今の、この状況だってそうだ。
「はよしてくれん?」
…早くしろ、とは?
俺の話聞いてた?
今日は休むんだって。
「失恋なんかで学校休んでええと思っとん?」
「失恋ちゃうって!」
「なんでもええからはよせえよ」
やっぱ人の話聞いてない。
千冬はズカズカ家の中に入ってくると、リビングでくつろぎ始めた。
夏樹は千冬を見るなり「おはー!」と挨拶を交わす。
千冬も同じく。
え、キミたち仲良いの??
そりゃまあ、昔は実の妹のように可愛がってくれてはいたが、…それにしてもフレンドリーすぎないか?
まるで、自分の家のように伸び伸びしては、「早くしろよ」と声をかけてくる。
なんだこの状況…
子供の頃はよく遊びに来てた。
俺もまた、千冬の家によく遊びに行ってた。
お互い気を使うことなんてなかった。
どっちも、“我が家”って感じがして。
さや姉はほんとの姉貴みたいだったし、千冬は千冬で、おかんのことが大好きだった。
千冬に母親はいない。
子供の頃に離婚して、家を出たんだ。
だから、そういうのも含めて、おかんとは親しかった。
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