雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第320話

公開日時: 2023年9月11日(月) 18:50
文字数:608


 臨港道路を突っ切って、神戸中央医療センターの前を通った。


 ポートアイランドは、日本で有数の先端医療技術の研究ゾーンでもある。


 街中にはない巨大要塞のような研究施設や、奇抜なデザインのセンタードーム。


 敷地の広い各施設の建造物を挟んで、嘘みたいに開けた土地が、ガントリークレーンが並ぶ港まで続いていく。


 まるで別世界なんだ。


 この場所は。


 タイムスリップしたかのように街並みが変わって、遠い外国に来たみたいに、ガラッと雰囲気が変わる。


 港を目指して走っていると、大手企業の超高層ビルが突き出したように現れる。


 その左手に見える交差点を横切り、歩道橋をくぐり抜けた先にある一面ガラス張りの空港ターミナルは、どこか知らない場所へと誘ってくれるように大きい。


 ポートタワーよりも背の高い建物。


 キリンが首を持ち上げたように整列する電波塔。


 島の至る所に建てられた最先端の建築物は、近未来の都市のように新しかった。


 ゴミゴミした圧迫感も、排気ガスの舞う騒がしい喧騒も、どこにもない。


 整備の整った道路も、道沿いに続いていくレンガの舗装も、街中の狭い路地裏とはまるで違った。


 広い道路の両隣に過ぎていくだだっ広い景色は、大空の下に広がる空中庭園のように開放感があった。


 臨港道路の上を走っていく巨大な貨物輸送車は、普通のトラックよりも何倍も大きいコンテナを運んで、渋滞のない道の上を走っていた。


 ——時折、滑走路から飛び立つ飛行機が、街路樹の葉を揺らしながら。



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