雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第382話

公開日時: 2023年11月10日(金) 17:09
文字数:690


 「よーし、ほんならロンTでもするかぁ。内野陣は集まって」


 「おーす!(一同)」


 「あの…」


 「ん?」


 「土井先輩借りてもいいですか?」


 「どしたん?」


 「遠投したいなって思って」


 「…ああ、別に構わんが、土井以外じゃダメなん?」


 「誰でもいいですよ」


 「ほんならノッチ、相手してやってくれん?」


 「ノックはいいの?」


 「個人ノック形式でやるから」


 「ああ、はいはい」



 ノッチこと野島先輩は、チームのエースだ。


 私のライバルでもある。


 先輩とはいえ、すぐにでもエースナンバーをつけたいからね。


 差はめちゃくちゃ開いてるけど…



 「千冬って遠投好きよな?」


 「昔からのルーティンなんですよ」


 「ルーティン??」


 「あー、正確にはルーティンというか、リリースポイントを確かめるための…」


 「ほう」


 「よく体が開きがちになるんですよ。体っていうか上半身?ゆっくり全身を連動させたくて、遠投してるんです」



 昔はよく投げ急いで、状態が前に突っ込んでしまうことがあった。


 強く投げようとすればするほど、意識が腕のほうに集中してしまう。


 そういう時にゆっくり体を使って、体全体でボールを遠くへ投げることを意識するようになった。


 フォームが崩れないように、ボールは高く上げないこと。


 高く投げようとすると左肩が上がる。


 遠くへ投げるために高く投げようとしたんじゃ意味がない。


 あくまでボールの軌道は低く、フォームはそのままで。


 ゆっくり大きく体を使う中で、リリースの際に強くボールを弾くイメージ。


 連動する動きの中で手首をうまく使えれば、自然とボールも強く投げれる。


 強さと柔らかさを両立するって感じだろうか。


 引けるだけ弓をゆっくり引いて、最後に指を離すみたいな?



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