女はその後も“超能力ばり”に力とやらを見せてきた。
その度に俺は驚いた。
“驚く”っていうか、誰だってそうだろう。
普通にあり得ないんだから。
何がどうなってるのかがさっぱりわからなかった。
仕組みもそうだし、身振り手振りでどうにかなるもんでもない。
必死に説明してくれようとはしているが、うーん…って感じだった。
そりゃ、そうなる。
女は理解しようとしない俺に「このバカ!」とか容赦ない言葉を浴びせて来るが、逆に理解できる奴なんているのか?
…ただ、理解せざるを得なかった。
自分の目にしているものがなんであれ、夢じゃないっていうことだけは、はっきりとわかったから。
屋上から突然二階のベランダに瞬間移動したり、ポケットの中に大量のお菓子を忍ばせたり(危うく先生に怒られるとこだった)、バスケの1on1で余裕で抜かされたり、テニスコートでダブルスばりの守備範囲を披露されたり。
どれもこれも驚いたが、1番びっくりしたのは、俺の渾身のストレートを軽々ホームランにされたことだ。
冷静に考えたら、他のことの方がよっぽどびっくりするが、何気にショックだったんだ。
こう見えても投げることには自信があった。
それが、何回投げてもホームランを打たれた。
嘘だろ!?と思って、しばらく打球を見上げてしまった…
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