「すご…」
ぽかんと口を開いていると、ガサガサッとボールがフェンスの向こうに消えていったのを確認してから、うなだれる俺の前に立った。
「止まって見えるで?」
「やばすぎやろ…」
「まだする?」
「いや、いい」
十分拝見はした。
納得はしていないが、他に説明できるものもない。
バックネット裏で、大ちゃんは絶句してた。
野球経験者ならわかるだろう。
軽々と打球を飛ばしていく、その“ヤバさ”が。
「私の手にかかれば、女の子のパンツ見放題やで?」
過去1のドヤ顔をかましていやがる。
が、とんでもない犯罪を犯そうとするな。
どっからそんな発想が出てくるんだ??
それに、俺を巻き込むなよ?!
さっきだってどっから持ってきたのかわからないくらいの大量のチョコとかクッキーが、俺のポケットからはみ出してた。
校則で禁止されてるっつーの。
急いで片付けたからまだ良かったが、やるならやるで先に言えっつーの。
なんで、俺が罪を被らなくちゃならんのだ。
「もし見たいパンツがあるなら言いなよ?ただし、有料やけど」
「…あのなぁ、言ってること相当やばいで?」
「冗談やん?仮にそんなことしようもんなら、屋上からあんたを突き落とす」
「ヒッ……!?」
あまりの恐ろしさに身構えてしまったが、言ってることが無茶苦茶なんだよなぁ…
そもそも誰がパンツ見たいって言ったよ
健太とかなら見たいとか言いそうだが、俺は違う。
一応、他の人には“秘密”だとのことだった。
“力”のことは。
秘密も何も、誰も信じないだろう。
俺だってまだ信じてないのに。
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