「会いにきたって言うとるやろ?」
「…えーーっと」
会いに来た。
…俺に?
なんか悪いことしたっけ?
まさか、夏樹の友達とか…?
だとしても展開が急すぎる。
初対面の相手には、礼儀ってもんをだな…
「どちらさんですか?」
聞こえたのか、聞こえてないのか、はっきりとはわからなかったが、女は大きなため息をついた。
眉間にシワを寄せている。
もしかしたら怒っているのかもしれない。
仮に怒っているにしても、意味がわからないが。
「単刀直入に言うが、あんたに用がある」
まさか、喧嘩を売られてるのか?
それだけはないと踏んでいたが、俄然その可能性が高くなってきた。
「…用?」
「すぐそこのグラウンドまで、一緒にきて」
なんで?
話があるんならここで済ませたほうが良くない?
そもそもこの近くにグラウンドなんてあったか?
見たことないけど。
「…俺、なんかしました?」
女はじろりとこちらを見つめ、返事らしい返事はしてくれなかった。
いいから付いてきて
その声に促され、仕方なくついていくことに。
いや、途中で逃げ出そうかとも思ったが、逃げるにしても後味が悪すぎる。
俺は何も悪いことはしていない。
していないし、逃げる理由がない。
話があるならあるで、一応聞いてやろうじゃないか。
どうせ大したことにはならない…とは思う。
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