「ただいまぁ」
「おっせ」
「ふぃ〜」
戻ってきて、速攻パイプ椅子に座り込む健太。
CCレモンを片手に、うちわを扇いでいる。
…俺も喉湧いたな。
あとで買いに行くか。
「なぁ、やっぱ彼女なん?」
「はぁ!?」
岡っちの耳にもすでに届いてた。
俺とあの女の関係について。
言っとくが、ほとんど初対面みたいなもんだ。
健太もツバサも、ろくに話を聞こうとしなかった。
あんな派手に登場するから、2人とも勘違いしてるんだ。
直接本人に弁明を求めようにも、余計ややこしくなるだろうと思ってやめにしてた。
仮に言ったって話を聞かないだろうと思ったからだ。
ハイハイとかうんうんとか、テキトーな返事ばっかで。
…とにかく、関わらないことが一番なんだろう。
が、コイツらはまじで…
俺の気持ちを知りもしないで、あることないこと突っ込んできやがって。
なんだその目は。
そんなキラキラした目で見てきても、何も出ないぞ。
本当に何もないからな。
「別に隠すことなくね?」
「なんも隠しとらんわ!見てみぃ!この真っ裸な心を!」
「でも聞いたで?仲良いって」
「誰に!?」
「隣のクラス」
いやいやいや。
誰がそんなこと言ったんだよ。
アイツか!?
そもそもお前らは友達の言葉を信じないで、どっから出たかもわからないような噂話に耳を傾けるのか?
俺は悲しいね。
お前らがそんな人間だって思うと。
「…ほとんど初対面って、名前で呼んどったやん。しかも呼び捨て」
「俺は呼んどらん」
「朝一緒に登下校しとったって話は?」
「…あれはやなぁ」
…ああ、もういい。
話してても埒が明かねぇ
アイツに言っとこ。
自転車貸してやるから、1人で漕げって。
何が嬉しくて変な噂を立てられなきゃならんのだ。
住む家が見つかったら俺たちは赤の他人も同然だ。
大体が、おかしな話なんだよな。
つい、話に乗ってしまった俺も悪いけど…
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