雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第61話

公開日時: 2023年3月6日(月) 22:43
文字数:747


 「ただいまぁ」


 「おっせ」


 「ふぃ〜」



 戻ってきて、速攻パイプ椅子に座り込む健太。


 CCレモンを片手に、うちわを扇いでいる。


 …俺も喉湧いたな。


 あとで買いに行くか。



 「なぁ、やっぱ彼女なん?」


 「はぁ!?」



 岡っちの耳にもすでに届いてた。


 俺とあの女の関係について。


 言っとくが、ほとんど初対面みたいなもんだ。


 健太もツバサも、ろくに話を聞こうとしなかった。


 あんな派手に登場するから、2人とも勘違いしてるんだ。


 直接本人に弁明を求めようにも、余計ややこしくなるだろうと思ってやめにしてた。


 仮に言ったって話を聞かないだろうと思ったからだ。


 ハイハイとかうんうんとか、テキトーな返事ばっかで。



 …とにかく、関わらないことが一番なんだろう。


 が、コイツらはまじで…


 俺の気持ちを知りもしないで、あることないこと突っ込んできやがって。


 なんだその目は。


 そんなキラキラした目で見てきても、何も出ないぞ。


 本当に何もないからな。



 「別に隠すことなくね?」


 「なんも隠しとらんわ!見てみぃ!この真っ裸な心を!」


 「でも聞いたで?仲良いって」


 「誰に!?」


 「隣のクラス」



 いやいやいや。


 誰がそんなこと言ったんだよ。


 アイツか!?


 そもそもお前らは友達の言葉を信じないで、どっから出たかもわからないような噂話に耳を傾けるのか?


 俺は悲しいね。


 お前らがそんな人間だって思うと。



 「…ほとんど初対面って、名前で呼んどったやん。しかも呼び捨て」


 「俺は呼んどらん」


 「朝一緒に登下校しとったって話は?」


 「…あれはやなぁ」



 …ああ、もういい。


 話してても埒が明かねぇ


 アイツに言っとこ。


 自転車貸してやるから、1人で漕げって。

 

 何が嬉しくて変な噂を立てられなきゃならんのだ。


 住む家が見つかったら俺たちは赤の他人も同然だ。


 大体が、おかしな話なんだよな。


 つい、話に乗ってしまった俺も悪いけど…

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート