「なにが嬉しくてあんたとハグせなあかんねん」
…えぇぇ
千冬は俺の話、——いわゆる仮説を、まだ信じてくれてはいなかった。
まあ、普通に考えてそうだよな。
「別の世界」から来たなんて、ドラえもんの4次元ポケットじゃあるまいし…
「とりあえず1回落ち着かん?」
「あんたがな」
「落ち着けるわけないやろ」
「ハァ!?」
「お前と再会できたんや。興奮せん方がおかしい」
「興奮とか言うな気持ち悪い」
「…別に変な意味ちゃうで?」
…なんでそんな怒ってんだ?
そりゃ千冬からしたら、事情もなにもわからない気がするけど
◇◇◇
一旦落ち着こうってことで、リビングで色々話をした。
さや姉も一緒に。
説明しても中々理解してくれなかったが、聞くだけは聞いてくれた。
俺ん家で説明したように、ありのままを伝えたんだ。
というかそれ以外に、浮かんでくる言葉はなかった。
「別の世界から来た」
ただ、そのことをわかりやすく説明しようとして、奮闘した。
かなり苦戦はしたが。
「どう考えてもあり得んやろ」
「嘘みたいな話やが、それしか考えられんのやって!」
「病院連れてこか、姉ちゃん」
「…そうやねぇ」
「待て待て待て!早まるな!」
雲行きが怪しくなりまくっているが、どうにかして納得させないと。
ただ、これといって手がかりのようなものはなかった。
憶測の域を出ていなかったし、ちゃんと説明できるものだって…
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