このお守りはいつも、手元にあった。
高校に入るまでだったかな?
今じゃ机の引き出しに置きっぱだけど、昔はずっと入れてたんだ。
野球バックのポケットの中に。
小4の時に買った。
千冬と、2人で。
どうしてもほしいって言うから、渋々付き合ったんだ。
どっちかっていうと俺はあんまり興味がなかった。
“運”なんてものは信じてないタチだし、何百円もそれに使うくらいなら、ジュースとかお菓子を買った方がいいとさえ思ってた。
でもアイツが言ったんだ。
一緒に買おうって。
えぇ…とあからさまに嫌がっても関係なかった。
気がついたらお店の前にいた。
だから仕方なく、紺色のそれを買った。
その日以来、ずっと肌身離さず持っていた。
最初はあれだったけど、俺にとっては特別なものになってた。
いつの間にか。
大事にするつもりなんてなかった。
お守りなんて、なんの役にも立たないものだと思ってた。
“野球が上手くなるおまじない”
千冬はそう言って、買ったばかりの小さなそれを、嬉しそうに眺めてた。
そんな都合のいい話があるわけが…
と、突っぱねると、俺のほっぺたをつねって、一緒に頑張るぞ!と豪語してきた。
あの日買ったおそろいのお守りは、俺たちがパートナーでもある証だった。
アイツがどう思ってたのかは知らないけど、いつの間にかそう思えたんだ。
バッテリーを組んで、一緒に練習を重ねるにつれて。
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