街の下まで続いていく坂道。
ロープウェイのように電線を伸ばして、橋の鉄塔のように整列している電信柱。
信号機が、坂道の下に見える。
神戸市内の街の入り口と、背の高いビル群。
街と、ビルと、海と。
全部の色が詰まってる。
摩耶山の麓から見える景色は、パレットに色を載せたようにカラフルだ。
摩耶大橋と並行するハーバーハイウェイ。
港の埠頭に建ち並ぶ青い屋根の工場。
赤い電波塔と、校門前の大きな杉の木。
坂を下っていく両端には、背の高い石垣の上に道草が覆い茂っている。
道にはみ出すほど鬱蒼と茂った場所もあれば、茶色い地肌が見え隠れしている場所も。
電信柱の上には、鳥のクチバシのような長細い帽子を被った電灯が、ポツンと首を傾げるようについている。
夜になると狭い坂道の上をポツポツと照らして、信号機のある交差点までひっそりと続いていく。
全然明るくないんだ。
おまけに小さい。
そのかわり、月明かりに紛れるほどの明るさだからか、坂の下に続く市街地の夜景が、すごく綺麗に見えるんだ。
まるで、天体望遠鏡の向こうに広がる、綺麗な星屑を見るように。
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