カッコいいなって思った。
単純に。
何やってんだろって思ったよ?
初めて見た時はさ?
紺色のユニフォームも、黒色のストッキングも。
裾を上げたオールドスタイル。
深く被った、アメリカンタイプの帽子。
ど真ん中に構えたキャッチャーミットが、振りかぶったフォームの対角線上にあった。
バカみたいに騒いでるスタジアムの熱気が、神戸市内の上空に漂っていて。
「野球」なんて知らなかった。
当時は。
スポーツなんて興味なかった。
親父によく言われてたんだ。
勉強しなさいって。
いつか立派な学者になって、“世の中に貢献できる人”になりなさいって。
別に嫌じゃなかった。
親父の話は面白かったし、研究所の人たちとも仲が良かった。
自作PCを組み上げて、大学のパソコンルームでプログラミングを勉強したりもした。
画像を自由に加工できるお絵かきアプリを、1人で作ろうとしたっけ。
小難しいなって思いながら、プログラミング言語を勉強したんだ。
機械をいじるのが好きだったから。
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