どうすればうまく伝わるだろうと考えながら、色々と話を組み立てていった。
彼女は信じてるような、信じてないような曖昧な顔をして、時々頷いたりしている。
俺は必死だった。
さっきまではどうにでもなれと思ってたけど、なんとなく“申し訳ない”って気持ちが先行してきたからだ。
だって映画見に行くって、それこそ大事件じゃないか!
よくよく考えたらそんなビックイベント、俺の人生にはなかった。
もし隣に健太がいたら、超ドヤ顔で「デートに行ってくる」って言ってやったところだ。
こんな俺でも女子と2人でいちゃつけるんだって騒いだら、アイツはどんな顔をするだろう。
きっと悔しがるだろうな。
先を越されたとかって言って。
…でも、正直、なんでそんなことになってるのか不思議でしょうがなかった。
俺には好きな人がいる。
ずっと昔から。
彼女なんて想像できなかったし、他の女子には興味なかった。
そりゃもちろん、ドキッてすることは時々あるよ?
俺だって男だ。
話が合う人が隣にいたら、それこそ仲良くなりたいって思う時がある。
ただ、その先のことは想像できなかった。
付き合うとか付き合わないとか、そんなのはよくわからない。
それでも、千冬のことしか考えられなかったんだ。
同じ夢を追いかけられるのは、千冬しかいないって感じてたから。
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