雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第314話

公開日時: 2023年9月5日(火) 23:48
更新日時: 2023年9月26日(火) 22:13
文字数:676



 だーかーら


 

 助けるってどうやって助けるんだよ


 さっきから、ずっと疑問に思ってんだが…




 「キーちゃんに気持ちを伝えるんや」


 「気も…、…は?」


 「あんたの気持ち」


 「ちょっと待て、なんのこと言っとんやそれ」


 「好きなんやろ?キーちゃんのこと」



 急に何を言い出すんだコイツは。


 唐突な発言にビビった。



 「何を言い出すねん」


 「この際ハッキリしよ。どうなんや?実際のところ」


 「どう…って」


 「好きなんか好きやないんか」



 好きか、好きじゃないか…?


 …そりゃ、千冬のことは、ずっと前から…



 「男やったらシャンとせぇ」


 「…お前に関係ないやろ」


 「関係ある」


 「どういうふうに?」


 「…はぁ、いちいち説明すんのもめんどくさいわ」



 どういうことだよ


 自分の中にある気持ち。


 千冬に対する想い。


 学校でも言われたけど、俺自身よくわかってないんだ。


 好きか嫌いかって言われたら、そりゃ好きだ。


 多分、この世界の誰よりも。


 でも、そんなのは俺の気持ちであって、誰かに話すようなことじゃない。


 そもそも、「好き」っていう気持ちがなんなのかもよくわからない。


 “それ”がどっから来て、どんなところにあるのかも。



 「チャンスは一度きりしかないで?」


 「せやから…」


 「今伝えんと、一生伝えれんかもしれんのやで?」



 …一生


 伝えてどうすんだよ、逆に。


 伝えたところで、何かの役に立つのか?


 千冬にはもう届かないってわかってる。


 今さら、何かを伝えたくても…



 「これは、あんたにしかできんことや」


 「俺にしか…?」


 「あの日のキーちゃんに“会える”のは、あんたしかおらん」



 なん…だって?


 会えるのか?!


 あの日に戻れるのか!?



 「それはあんた次第や」


 「…どういう」



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