「…何?からかっとる?」
そんなつもりはない
どこをどう捉えたらそうなるんだ?
逆に聞きたいくらいだった。
どっからどう見ても、赤の他人に見えたから。
「…からかっとらんけど?」
不思議そうにこっちを見てきた。
…えっと、…なんで?
どうしてそんな顔をされるのかも、どうして話しかけられてるのかもわからなかった。
イヤホン越しに聞こえてくるiTunesの音楽。
しかめっ面に持ち上がる眉毛が、窓越しに過ぎていく街の景色のそばに止まり。
「…頭でも打ったん?」
打ってない…けど?
目を瞑れと言われたから瞑って、それで…
記憶を思い返してた。
ついさっきの事だというのに、妙に記憶が遠い。
電車が揺れている音が耳のそばを抜け、立ち並ぶビルの被写体が、ガラス越しに大きくなっていく。
もうすぐ駅だ。
車内ではアナウンスが流れ、人や車で溢れる繁華街の街並みが、夕暮れ時の日差しの下に動いていた。
窓の外に目をやりながら、目を閉じる前のことを思い出そうとした。
わざわざ思い出すほど、時間は経っていないはずなのに。
「もしもーし」
謎の女子高生は、また、デコピンをしようとしてきた。
やばッ!
と思いながら咄嗟に後退り、両手でガードした。
さっきは思いのほか痛かったんだ。
なんならまだ、ヒリヒリしてる。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!