雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第196話

公開日時: 2023年5月12日(金) 23:43
文字数:718


 無意識にまた、顔をつねる。


 …いてー


 「並行世界」ってそもそもなんなんだろうか?


 目の前の出来事が現実だとしたら、他にも色んな世界があるんだろうか?


 神戸の街は、いつもと変わらないように見える。


 空の色も。


 鏡の向こうの世界、——つまりパターンっていうのは、色んな“現実”が、隣り合わせになって存在してるっていうことだよな…?


 合ってるかどうかわかんねーけど、そう解釈するしかない。


 “鏡の向こう”っていうのがいまいちわからんが、色んな現実の中の1つだと思えば、なんとなくしっくりくる。


 昨日からそんなことばっかり考えてるが、アイツはどうやって、俺をここに連れてきたんだろう…


 「未来からやってきた」っていうのを、まだ信じてない。


 信じられるわけないから。


 そんな、漫画の世界みたいな…



 ただ、色んなことを考えてると、あながちそれも嘘じゃないのかなって思えてきた。


 だって現に、“あり得ない”ことが起こってるわけだ。


 それを整理しようとすればするほど、アイツの言ってたことが重くのしかかってくる。


 まじで、アイツは何者なんだろうか。


 宇宙人なんてことはないよな…?


 うーん、無い無い。


 どっからどう見ても人間だった。


 そもそも、宇宙人の見た目なんて知らないけど。



 “千冬を助けたい”


 たしかにそう言ってた。


 その言葉通りのことが目的なら、あの日の「事故」を無くす…、…そういうことなんだろうか?


 千冬はあの日、海に溺れてない。


 目の前の彼女は、その「現実」の中にいる。


 ここが本当に“現実”かどうかは一旦置いておいて、現にそうなってる。


 ってことは、ひょっとしてアイツの目的は達成されてるのか…?


 助けたいってそういうことだよな?


 「運命」を変えるって言ってた。


 その場所に、俺を連れて行くって。


 

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