時間の流れが急に遅くなる。
そんな感覚の最中に現れた、躍動するうねり。
空は回転していた。
雲の流れが、くっきりと見えるくらいに近く。
青い放物線が空にかかっていた。
風は微かに残り、街路樹の葉が、時間の許す限りに揺れていた。
空から落ちてくる光の先端が、吸い込まれそうなくらいに膨らんでいく。
地面の上に沈んでいく街の影は、世界の全てを覆うように重く、——濃くなっていく。
「タイムリミットや」
誰かの声が聞こえて、目を見開いたんだ。
その、——目の前には。
世界が、止まっている。
それをどう表現すればいいかはわからなかった。
ただ、そう捉えるしかなかった。
——人も、車も、日の光も、街の音も。
交差点を渡る人たちの足が、地面の上に止まっている。
歩いている姿勢のまま停止し、動かない。
服は石のように固まり、髪は空気の先端に靡いたままだ。
まるで、カメラのシャッターを切ったかのようだった。
視界に映る全ての時間が、レンズの中に閉じ込められたかのように。
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