スマホから電卓を開けというから、仕方なく開いた。
そしたらドヤ顔で、計算してあげると言ってきた。
「計算」と言われましても…
仕方なく適当な数字を並べると、即座に女は答えを言ってきた。
びっくりしたのは、少数点の最後の数字まで言い当ててたことだ。
スマホの画面上に表示されてる何十桁もある最後の数字まで、きっちり。
「…まじか」
「へっへーん」
鼻息荒…
ってかすげぇ腹立つ顔してる
が、すごい…
え、がちですごくね?
違う数字を言っても、全部当てて来るんだが
「実際に計算しとるわけやないで?」
「え、どゆこと?」
「ズルしとんや」
「ズル…?」
女が言うには、この前みたいに時間を止めて、自分のスマホの電卓から調べているみたいだ。
…うん、言ってることはわかるが、めちゃくちゃだ。
“時間を止める”って、そもそもなんでできるんだ!?
人生でこんなに突っ込みたい気持ちに駆られたことはない。
果たしてこれを「突っ込む」と言っていいかどうかもわからないけど…
「お前、…ほんまに人間か?」
抑揚のない声色でありのままの気持ちをぶつけてしまったのは、それ以外に対処できる感情がなかったから。
自分でもよくわからない。
言いたいことはめちゃくちゃある。
どんな言葉を使っていいかもわからないほど。
でもそれを一から分解し、順序立てて組み立てられるほど、具体的な「言葉」に押し上げることができなかった。
どう頑張っても“あり得ない”が先行してしまっていた。
複雑な知恵の輪で、延々と苦しんでる時みたいに。
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