「ま、嘘なんやけどね」
「ハァ!?」
「だってそうでも言わんと納得できんやろ?」
「…え、嘘??」
「そ」
…コイツ
やっぱダメかも
おかんがうるさいけど、ご退出してもらうのが賢明な気がする。
このまま泊めてても絶対ろくなことがない。
こんなことならさっさと警察に突き出しといた方が良かった。
今日が最後の晩餐な?
いくら持ってるのか知らないが、ポンと三万も出せるんだからホテルにでも泊まれよ。
カプセルとかだったら安いんだから。
「私がこの街にきた理由。明日教えたるわ」
「いや、今教えろよ」
「気分やない」
なんだよ、“気分じゃない”って。
どこまでもマイペースで困った。
問い詰めると、家を出たのは間違いなさそうなんだが、どうやら、親は関係ないらしい。
もっと別の、深い理由があるっぽかった。
本人曰く。
ま、いいや。
とりあえずすき焼きでも食って落ち着こう。
ってか卵あったっけ?
確認するの忘れたな…
最悪もう一回来るか。
米が炊けるまで時間がかかる。
下拵えもしないといけないから、ひとまず女に野菜を切ってもらおう。
なかったらなかったで、ついでに歯磨き粉も買わなきゃな。
夏樹のせいで、もうあと少ししか残ってないんだ。
人のを勝手に使うなって言ってんのに、全然言うこと聞かないんだよ。
この前なんか、勝手に人の漫画持ち出すし。
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