全員と別れたあと、俺と女は同じ自転車に乗り、海沿いを走った。
本当は2人乗りなんてしたくなかったが、どうしてもって言うから。
9月に入ると、夜になるのが速くなる。
空はもう暗くなってた。
夕陽は海の向こうに消え、青白い光が、道路の真ん中に広がっていく。
俺を口を聞かなかった。
腹が立ったからだ。
言うことを聞かないってのもそうだし、何より、ずかずか人のテリトリーを土足で歩き回られた気がして。
「みんなおもろいな。ええ仲間やん」
「…」
なに当たり前のように後ろに乗ってんだよ。
…ったく
「なんで怒っとん?」
「怒るやろそりゃ」
「意味わからん」
「それはこっちのセリフや」
ほんと、とんでもない1日だった。
クラスの人たちからジロジロ見られるし、担任からはからかわれるし。
いいネタになっちまってる。
どれもこれもお前のせいだ。
平穏な二学期が始まると思ってたのに。
「女々しいやつやなぁ」
「誰がや。図々し過ぎんねん。そもそも」
「ええやん。ちょっとくらい甘えても」
「甘えようと思うのが不可解やわ」
「帰ったら肩揉んだろか?」
「やめろ」
「照れんなって」
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