雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第340話

公開日時: 2023年10月1日(日) 05:25
文字数:1,048


 夜の学校の理科室とか、あの不気味な感じ。


 あそこまでとは言わないが、ここもまあまあ不気味だ。


 背中がゾクゾクするんだよな。


 なんつーの?


 用途のわからない機械とか、散乱するコードとか。


 得体の知れない何かがそこらじゅうにあるせいで、めちゃくちゃ息苦しい。


 大体、そのどでかい機械は?


 お前が操作してるやつ。



 「これ?これはメインコンピューターと繋がっとる」


 「メインコンピューター?それってパソコンみたいな?」


 「んーまあ、そんな感じやな」


 「何に使うん?」


 「インターネットと接続するんや」


 「インターネット!?」


 「…脳の中にはチャンネルがあるって言うたやろ?」


 「…ああ」


 「この機械は、人間の脳の中に保存されてる記憶領域と、電気的に接続するために設計されとる」


 「脳と…接続…?」


 「コイツはその一部に過ぎん。この地下空間に設置されとる巨大なコンピュータは、未来から来た技術によって設計されとる。用途は色々ある。基本的には、量子的な情報とかエネルギーにまつわることやけど」




 …ふーん。


 まあ、なんでもいいけど、あそこに入るのだけは勘弁な?


 まだこんなところで死にたくないんだ。



 「死んでも、死体はちゃんと処理してあげるで?」


 「…冗談に聞こえんのんやけど?」


 「今のうちに遺書でも書いとくか?」



 後ずさる俺を横目に、女はトントンとタッチパネルを打つ。


 機械から音声ガイダンスが流れ始めた。


 俺の知らない単語が、スピーカー越しに聞こえてくる。




 「よし、準備できた」


 「…なあ、帰らん?」


 「ここまで来て何言うとんや」


 「…いや、その」



 ガチであそこに入るつもりなのか??


 …いや、ほんとに無理なんだって!!


 狭いところは苦手だし、薄気味悪いし…!



 「キーちゃんに会いに行くんやろ?」


 「行きたいけど…でも…」


 「シャンとせぇ」



 ポッドの前まで俺を引っ張り、中に入れと促してくる。


 ガラス製の蓋を開けた。


 中には、レザーシートのようなものが敷かれていて、血管のように流れる電線が、内側の壁に張り巡らされていた。


 マザーボードみたいな基盤が、いくつも見える。


 たくさん取り付けられていた。


 コイルのような部品も、プラグやソケットも。


 それと…



 「なんで椅子に、こんなものが…?」



 座席の上部には、頭を固定するためのベルトと、お椀型のシリコンネットが取り付けられていた。


 そのネットは頭の大きさくらいで、位置的に、どう考えても…



 「これ、まさか、頭につけるみたいな…?」


 「ご名答」



 …いやいや、ふざけんなよ



 電極のような金属製のチップと、それに連結するケーブルが、ネットの下部に垂れ下がっていた。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート