夜の学校の理科室とか、あの不気味な感じ。
あそこまでとは言わないが、ここもまあまあ不気味だ。
背中がゾクゾクするんだよな。
なんつーの?
用途のわからない機械とか、散乱するコードとか。
得体の知れない何かがそこらじゅうにあるせいで、めちゃくちゃ息苦しい。
大体、そのどでかい機械は?
お前が操作してるやつ。
「これ?これはメインコンピューターと繋がっとる」
「メインコンピューター?それってパソコンみたいな?」
「んーまあ、そんな感じやな」
「何に使うん?」
「インターネットと接続するんや」
「インターネット!?」
「…脳の中にはチャンネルがあるって言うたやろ?」
「…ああ」
「この機械は、人間の脳の中に保存されてる記憶領域と、電気的に接続するために設計されとる」
「脳と…接続…?」
「コイツはその一部に過ぎん。この地下空間に設置されとる巨大なコンピュータは、未来から来た技術によって設計されとる。用途は色々ある。基本的には、量子的な情報とかエネルギーにまつわることやけど」
…ふーん。
まあ、なんでもいいけど、あそこに入るのだけは勘弁な?
まだこんなところで死にたくないんだ。
「死んでも、死体はちゃんと処理してあげるで?」
「…冗談に聞こえんのんやけど?」
「今のうちに遺書でも書いとくか?」
後ずさる俺を横目に、女はトントンとタッチパネルを打つ。
機械から音声ガイダンスが流れ始めた。
俺の知らない単語が、スピーカー越しに聞こえてくる。
「よし、準備できた」
「…なあ、帰らん?」
「ここまで来て何言うとんや」
「…いや、その」
ガチであそこに入るつもりなのか??
…いや、ほんとに無理なんだって!!
狭いところは苦手だし、薄気味悪いし…!
「キーちゃんに会いに行くんやろ?」
「行きたいけど…でも…」
「シャンとせぇ」
ポッドの前まで俺を引っ張り、中に入れと促してくる。
ガラス製の蓋を開けた。
中には、レザーシートのようなものが敷かれていて、血管のように流れる電線が、内側の壁に張り巡らされていた。
マザーボードみたいな基盤が、いくつも見える。
たくさん取り付けられていた。
コイルのような部品も、プラグやソケットも。
それと…
「なんで椅子に、こんなものが…?」
座席の上部には、頭を固定するためのベルトと、お椀型のシリコンネットが取り付けられていた。
そのネットは頭の大きさくらいで、位置的に、どう考えても…
「これ、まさか、頭につけるみたいな…?」
「ご名答」
…いやいや、ふざけんなよ
電極のような金属製のチップと、それに連結するケーブルが、ネットの下部に垂れ下がっていた。
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