「ほんまのほんまに千冬やんな??!」
前のめりになりながら尋ねる。
彼女は壁際に追い詰められたかのように怯えている。
「…ヒッ!怖い怖い怖い」
確かめたくてしょうがなかった。
今すぐに。
夢なら覚めてほしくないし、夢であってほしくはない。
でも、どれだけ信じられないと思っても、直感が囁いてる。
彼女は「千冬」だ。
きっとそうだ。
どれだけ現実離れしてようが、どれだけぶっ飛んだ状況だろうが。
きっとあの女が、「別の世界」に俺を連れてきたんだ。
じゃないとおかしいだろ?
別の世界に飛んできて、世界が変わって——
目の前にいる彼女は、多分、別の世界の「千冬」。
そう考える方がずっと自然だった。
整理しようとすれば、するほど。
病院にもいなかった。
名前だって一緒だし、顔も、仕草も、性格も、記憶を辿れば辿るほど、“千冬”だって思える。
この部屋もそうだ。
アルバムに写ってる俺たちも。
理屈なんてどうでもいい。
千冬が目の前にいる。
それが、その「現実」が、たまらなく嬉しく思えてきて。
「それ以上近づいたら殺す!」
めちゃくちゃ物騒だなしかし
そんな嫌がることある?!
俺とお前の仲だろ??
…てか、口悪くね?
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