雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第221話

公開日時: 2023年6月6日(火) 22:38
文字数:778


 「ちょい行ってくる」



 調べられるところは調べてみるしかない。


 教室、体育館、屋上。


 ——とにかく、見れるところは。



 「へ!?置いてかんといてよ!」

 


 正面から校舎の中に入ると、すれ違う人たち全員が俺たちのことを見た。


 中には、すれ違った後に二度見してくる人も。


 なんで??


 まさか、俺のこと知ってるやつでもいた?


 見た感じいなさそうだが



 「どうかした?」


 「なんか、すげー見られとらん?」



 下駄箱に靴をしまおうと思ったら誰かに占拠されてて、仕方なく空いてるスペースに靴を入れた。


 スリッパでも履いていこうと思い、玄関の端にある来客用のやつを借りようとした。


 そしたら、事務室のおばちゃんにもすげー睨まれた。


 ドキッてなっちゃったよ…


 一之瀬さんの分もって思いながら顔を上げたら、こっち見てんだもん



 いつもはそんなことない。


 「おばちゃんおはよう」って言えば、笑顔で返してくれる。


 それがどうだ?


 ぺこって会釈したら、反応がないどころか、眉間に皺が寄ってる。


 …怖


 あんな怖い人だったっけ


 職員室の方から出てきた体操服姿の2人組(多分バレー部)も、図書室の中にいるインテリ系男子も、いつもは無口のハラセン(古典の先生)も、すれ違う人全員、不審者がいたかのようにこっちを見る。


 なんだよ、まじで。


 そんな変な格好をしてるつもりはないんだが?


 …だよな?



 「あ!」


 「え、何?!」



 …そうか。


 俺が今着てるのって、神戸高の制服だった。


 …どうりで。



 他校の生徒がずかずか侵入してきたら、そりゃびっくりするわな。


 イベントでもないのに何しにきたんだ?ってなる。


 でもそんな変な目で見なくても…


 たまーに部活とか合同練習の関係で他の学校の人が来る時あるじゃん?


 たまにだけど。


 別に変なものじゃないっすよ。


 おばちゃん俺のこと覚えてないの?


 時々お菓子くれるじゃん?


 お腹すいたって言ったらさ?


 それなのに全然笑ってくれねーじゃん。


 手ぇ振ってんのに。

 

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