雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第213話

公開日時: 2023年5月29日(月) 22:31
文字数:738


 「体調不良じゃない」って言った時には、普通に戸惑ってた。


 そりゃあんだけ体調悪いって言ってたら、そうなるよなとは思う。


 説明にはだいぶ苦労した。


 なんて言ったら伝わるだろうなと思い、無茶苦茶考えたんだ。


 ぶっちゃけ伝わらなくてもいいやとは思ってた。


 最初の時みたいに。


 「記憶喪失」だって相当ぶっ飛んでる。


 それをあろうことか、“世界が変わってる”なんて、誰が信じる?


 もちろん言葉は選んだつもりだ。


 というか、選ぶもクソもないんだけど…



 さすがに納得してくれるまではいかなかった。


 まあそれはしょうがないとして、ひとまず話は聞くだけ聞いてくれた。


 最初から最後まで、話を遮ることもなく。



 「今から行くん?」


 「ああ」



 ここからはそこまで遠くない。


 須磨駅の近くだから、電車に乗ってすぐだ。


 一之瀬さんはいつもバスに乗ってきてるらしい。


 だから自転車は持ってない。


 とりあえず三ノ宮駅まで行って、そこから須磨駅まで電車で行く。


 彼女にそう言うと、すぐ近くだし、自転車で行こうよと言われた。


 どうせ、一駅分の距離だから、と。



 「いっつも自転車で来とるんやろ?」


 「…たぶん」


 「ああ、そっか、わからんのやね」



 自転車で通ってるんじゃないかな?


 確信は持てないけど、きっとそうだ。


 いつも一緒に通ってるって、千冬が言ってた。


 今日も20分くらいだった。


 マックに寄ったからあんま正確じゃないが、感覚的には、大体それくらいだろう。


 全力で漕げば10〜15分くらいか?


 信号が多いからなんとも言えないな。


 ってか、一応アレも持ってるんだよね。


 あれあれ。


 電車の定期券。


 “定期券”だから、通学用のものだとは思う。


 でもそうなると、自転車は?ってなる。


 ただ今日は自転車で行ったから、それを使うタイミングがなかった。


 一体何のための定期券なんだろうか。


 うーん…

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