「500円」
「そんなするわけないやろ」
「手数料です」
「今手元に200円しかないから200円でいい?」
「ダメに決まっとるやろ!」
「21円あったわ。はい、221円」
「財布貸して」
「無理」
「1000円入っとるやん!」
「入っとるけど…」
財布を強奪されて1000円を抜き取られる。
お釣りは「500円な」と言われ、ちゃんと返せと怒った。
300ちょっとくらいだっただろ??
レシート見せろよ!
「おばさん屋台で何か買ってこようか?」
「そういや今日祭りやったね。欲しいものがあったら亮平に頼むからいいよ」
「亮平に頼んだら忘れられるで?」
「ハハ。それもそうかも」
「俺がなんやって?」
「なんもない」
「また連絡するわ」
「帰りに寄るからよろしく」
「行ってらっしゃい。気ぃつけてな」
『木崎 MOTOR』の看板と、店の中に並んでる展示バイク。
海風が当たるこの場所で、おかんは今日も働いてる。
千冬はよく遊びにきてるらしい。
学校の帰りとか、休みの日とかにも。
たまにここで寝泊まりしてる時があるくらいだ。
おかんはおかんで、泊まり込みで仕事してる時があるから。
店にはシャワー室も、洗濯機もある。
意外と困らないんだよな。
寝る場所っつったら、ソファくらいしかないが。
「あんたのせいで朝練に間に合わんがな」
「まだ始まったばっかやろ?」
「着く頃にはもう終わるわ」
「お前がパン屋に寄るとか言い出すからやろ?」
「あんたが財布忘れるからやん」
「財布忘れたこととパン屋に寄ることに関係が?」
「遠回りせんかったら寄りませんでした」
「頑張れば間に合うって」
「さっきライン送ったからいい」
「コウに?」
「先輩に」
「俺のせいにしてないやろな?」
「してますが?」
「半分お前のせいやろ!」
「へー。おもろいやん」
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