雨上がりに僕らは駆けていく Part2

目指せ、甲子園!
平木明日香
平木明日香

第357話

公開日時: 2023年10月16日(月) 16:42
文字数:719


 「500円」


 「そんなするわけないやろ」


 「手数料です」


 「今手元に200円しかないから200円でいい?」


 「ダメに決まっとるやろ!」


 「21円あったわ。はい、221円」


 「財布貸して」


 「無理」


 「1000円入っとるやん!」


 「入っとるけど…」



 財布を強奪されて1000円を抜き取られる。


 お釣りは「500円な」と言われ、ちゃんと返せと怒った。


 300ちょっとくらいだっただろ??


 レシート見せろよ!




 「おばさん屋台で何か買ってこようか?」


 「そういや今日祭りやったね。欲しいものがあったら亮平に頼むからいいよ」


 「亮平に頼んだら忘れられるで?」


 「ハハ。それもそうかも」


 「俺がなんやって?」


 「なんもない」


 「また連絡するわ」


 「帰りに寄るからよろしく」


 「行ってらっしゃい。気ぃつけてな」



 『木崎 MOTOR』の看板と、店の中に並んでる展示バイク。


 海風が当たるこの場所で、おかんは今日も働いてる。


 千冬はよく遊びにきてるらしい。


 学校の帰りとか、休みの日とかにも。


 たまにここで寝泊まりしてる時があるくらいだ。


 おかんはおかんで、泊まり込みで仕事してる時があるから。


 店にはシャワー室も、洗濯機もある。


 意外と困らないんだよな。


 寝る場所っつったら、ソファくらいしかないが。



 「あんたのせいで朝練に間に合わんがな」


 「まだ始まったばっかやろ?」


 「着く頃にはもう終わるわ」


 「お前がパン屋に寄るとか言い出すからやろ?」


 「あんたが財布忘れるからやん」


 「財布忘れたこととパン屋に寄ることに関係が?」


 「遠回りせんかったら寄りませんでした」


 「頑張れば間に合うって」


 「さっきライン送ったからいい」


 「コウに?」


 「先輩に」


 「俺のせいにしてないやろな?」


 「してますが?」


 「半分お前のせいやろ!」


 「へー。おもろいやん」



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