相変わらずスッキリとした部屋だ。
言われなければ、ここが女子の部屋だということには誰も気づかない。
ベットも机も、カーテンの素材も、“かわいい”っていう要素は1つもない。
どこか大人びてて、服とかファッションには無頓着な感じの、いい意味でこだわりのない部屋。
「女子の部屋」って、ぬいぐるみとか化粧品とか置いてそうなイメージだが、ここには無い。
千冬はそういうのに興味はなかった。
多分、だけど。
小学生の頃の彼女しか知らない俺にとっては、想像でしかわからないことがある。
考えたってわかんないんだ。
俺と同じように高校生になった彼女が、どんなものに興味を抱いているかなんて。
「あった!ほら、これ!」
丸テーブルの上にバラバラっと置かれた卒アルに日記。
全部小学生の時のものだ。
日記は、小6の、夏休みの時の…
「これで満足か?」
俺の話を真面目に聞いてくれたおかげか、彼女は色々と出してくれた。
写真があったら見してくれって言ったんだ。
昔のことは、よく覚えてるから。
卒アルを開くと、そこには千冬の姿があった。
…思わず、目を疑った。
だって、俺の知ってる彼女の姿が、そこには写っていたから…
事故に遭って、入院して、それ以来千冬は病院にいた。
だから卒業アルバムの集合写真には、欠席者扱いで右上に載せられているだけだった。
…でも、彼女が出した卒アルには、そんな痕跡も、気配もなかった。
元気いっぱいの笑顔でそこに写ってる。
参加したはずのない文化祭の時の様子も、修学旅行の時の楽しそうな様子も。
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